第8回関西みみはなのど治療研究会
9月3日土曜日に、毎年開催している「第8回関西みみはなのど治療研究会」をリーガロイヤルホテル大阪で開催いたしました。本研究会は耳鼻科の先生方を対象にしたもので、毎年、国内の主要な施設から、それぞれの分野の第一人者の先生をお呼びして、講演していただいております。今回は、京都大学耳鼻咽喉科の楯谷一郎先生、マンチェスター大学のDr. Karagamaに講演いただきました。海外からドクターをお呼びするのは初めてのことです。また、Dr.Karagamaからは、英国で行われている最新の音声治療、嚥下障害の治療について講演いただきました。Dr.Karagamaとは、彼の主催するphosurgery course(音声手術の講習会)に、一色先生と共に招聘されたことがきっかけで交流が始まりました。昨年6月には、英国で治療困難であった痙攣性発声障害の患者さんを、直接当院にお連れいただき、手術をさせていただきました。言葉の壁を超えて、彼の音声疾患の治療についての熱意には感銘を受け、我々も頑張らねばとの思いを強くしました。
楯谷先生には、京都大学で行っているDa vinci(手術支援ロボット)や内視鏡を用いた経口的な咽頭癌治療について、最新の内容をご講演いただきました。それまで私自身はDa vinciを用いた実際の手術を見たことはありませんでした。最近の人工知能の台頭に人間自身が脅威を覚える風潮もあるように、手術支援ロボットが人間を超えれば、我々外科医は必要なくなるのではという危機感も感じておりました。しかし講演を聞いて、機械が人間を超えるかどうかというよりも、機械と人間がいかに相補うかということを考えるべきであると感じました。何よりも、咽頭癌の手術は以前は大きく外切開して回復に時間がかかり、術後も嚥下機能や構音機能がダメージを受けることが普通でしたが、経口的に手術を行うことで、術後の回復も早くそれらの機能も保たれますので、やはり機器の進歩は素晴らしいと言わざるを得ません。我々の施設でも、Da vinciとまでは行かなくとも、医療機器の進歩を積極的に取り入れてゆきたいと思います。
その後の懇親会で、一色信彦京大名誉教授に乾杯のご発声をいただきました。先生は80半ばを超えておられますが、遠方はるばるご出席いただきました。今回は特に出席していただいた先生方も多く、貴重な意見交換の場となりました。来年以降も継続しますので、ご報告したいと思います。